その意味は…

握りしめたあなたの手は　とても温かくて
それまで不安だった私の心までも解き解す

笑顔で迎えてくれたあなたに
私もつられて笑顔になる

あなたに出会えて　また一つ
大切な何かが私の中に生まれた
そして　一歩先へ踏み出すことができた


『ありがとう』


そう伝えても　あなたはきっと
何もしていないよと笑うかもしれない
それでも私は　何度も　何度でも
伝え続ける　そう　心の中で


あなたに出会えてよかったと


出会ってくれて　


ありがとう

当たり前の風景に

雨上がりの早朝は少し肌寒い
僕は少し早起きをして　近くの神社へ行くことにした


朝靄が立ち込める中
まだ誰もいない参道に足を踏み入れる
一段と空気が冷たくなった気がした

きらきらと朝露が輝いている
シン･･･と静まり返った中に
鳥のさえずりと砂利を踏む音だけが響く


雨で洗われた大気と静寂に包まれた緑の中
一歩、一歩　進んでいくたびに
荒れた心も　疲れた身体も癒されていく

そんな　気がした



普段はあまり気に留めないくらい
当たり前の風景だったのに　今はもう　
僕にとって掛け替えのない場所となった

"当たり前"　その中にきっと　
見落としてしまった"何か"があるのかもしれないと
そう思いながら僕はまた　一歩一歩　進んでいく


遠くで鈴が鳴る音がした
















雪月逢企画「5人の詩うたい Vol.3～Healing Stage～」より

休息

毎日忙しく　それなりに充実した日々を送っている

でも…、ふと気づけば　
仕事に縛られている自分に気が付いて
心の余裕さえも無くなっていた

充実した日々を送っていたはずなのに
…送っていたと思っていた…
いつの間にか　心の充実ではなかった


交差点で立ち止まると
色々な音が飛び交っている
行きかう人々の声　足音
電光掲示板の忙しないＣＭ
信号の点滅　車のクラクション

こんなにも音が溢れている
まるで今の自分のようだと思った



この溢れ出る街の喧騒を放れて
探しに行こう　心のオアシスを
カバン一つを手に持って
どこかにある　心のオアシスを


降り出した雨が　大地を潤すように
今の自分に足りない
渇いた心を潤すモノを探しに





















雪月逢企画「5人の詩うたい Vol.3～Healing Stage～」より